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Zeroing Out: rants against the radio culture (ja/en)

ラジオ文化に対する所感と諦観

Dated articles

20231010

WAS Mixed AwardとEndorsement到着

前回20230919に書いたWASアワードのMixedの賞状、およびMixedへの15m、そしてすでにあるDigitalの賞状への15mとFT8の特記/endorsementのステッカーが届いた。15m/21MHzはずっと遠距離伝搬で好調だが、ここまでの成果としてWASアワードを再度Digital+15m+FT8という縛りでいただけたことは大変嬉しい。

Swains島のDXpedition

20231007からUS American SamoaのSwains IslandでのDXpedition(コールサイン W8S)が行われている。20231015ぐらいまで滞在の予定らしい。Swains島からの運用局とは2006年7月のKH8SI、2007年4月のN8S、そして2012年9月のNH8Sで交信できている。今回は実に11年ぶりの交信となる。

Swains Islandは米国領だが、ニュージーランドの自治領であるTokelauのFakaofo島が近いことから領有権を主張していたり、サモア独立国とAmerican Samoa双方からも結構距離が遠かったり(約300km)と、微妙な位置にある。それが故にDXCCというアワードで独立したentityとして認められたのだと思う。

今回の運用では未交信であり交信の可能性のある10m/28MHzと15m/21MHzでの交信を狙っていた。場所柄日本との伝搬は良く、15mに至っては日本の朝から夜(00Z-13Zぐらい)までずっと聞こえているという好立地なのだが、欧州や北米東部からは難所に属するため彼等を優先する時間が設けられていた。私の貧弱なモービルホイップと100Wだけの設備では、日本の朝から昼(00-05Z)の間に交信するのが精一杯だった。

今回のDXpeditionでは久々にモールス電信(A1A, CW)による運用がメインとなっていて、私も久々に本格的なCWのスプリット運用を行った。FT-710では以下の手順でスプリット運用ができる。

簡易的なスプリット運用にはCLAR TXまたはCLAR RXを使うこともできるが、±9.99kHzの範囲でしか動けない。今回は10kHzを越える大パイルアップになったため、スプリット運用の出番となった。

W8S相手ではRemote Ham Radio (RHR)でもN6BDXのコールサインで同様の運用を行いWebDXのI/Fを介して30m/10.1MHz CWで12Zごろに交信できた。W7/Portlandという500W送信の設備を使ったため、一度相手を掴まえられれば交信は容易だった。とはいえ、やはり手元の物理トランシーバのフルブレークインのリレーの音を聞きながらタンジブルで大きなダイヤルを回して運用できたほうが安心感がある。バンドスコープも見えるので、誰が呼んでいるかの推定ができ、すばやくその周波数に送信周波数を移せる。これで2波受信ができればさらに良い。RHRでのFlex Radioのトランシーバでは2波受信で確認できるため、相手と交信している局の存在が音で確認できるのが良かった。

本格的なCWのパイルアップはFT8/FT4のそれとは違い人間が積極的に聞くというコミットメントが要求される分楽しさも増える。交信のペースも(複数ストリームを使わない場合の)FT8よりは速いし、RHRでも送信側での符号の途切れがないので受信音が途切れるとはいえそんなに交信は難しくない。ただ呼ばれている側にとって何時間もパイルアップの相手をするのは大変厳しいと思う。

今回はタイミングが良かったのか、15m CWでの交信成立から6時間経たずにLoTWでのconfirmationをもらうことができた(QSLマネージャのM0OXOにEUR8.00の手数料を支払っている)。これでSwains Islandは30mから10mでの6バンドでconfirmできたことになる。CWの運用も久々に復習できたし、成果としては十分だろう。あとは運用チームの無事の帰還を祈りたい。なにせ近くの人の住んでいる島までは数百km離れているのだから。米国の人口統計によればSwains Islandは2020年からは無人島らしい。

なお久々にDXクラスタを見ていたのだが、相変らずDXpeditionになるとそれはもう欧州北米の罵詈雑言に満ち満ちていて、20230221に書いた3Y0J BouvetのDXpedition以来の荒れ方である。自分がDXクラスタを見るようになってから21年経つが、この暴言ぶりは当時から変わっていない。最近は各種ソーシャルネットワークの普及で誹謗中傷が日常化してしまっているけど、こういう暴言とその背後の脊髄反射的なhostilityを見ていると、人類、そしてその中でも特に偏屈偏狭かつ独善的な性格の人達が多いアマチュア無線家にソーシャルネットワークは早すぎたんだろうと思う。

20230919

電離層は秋だがまだ暑さが終わらない

東京にも20230915には大雨が降り、もはや真夏ではないとはいえ、まだ暑い。とはいえ、電離層はすっかり秋になっていて、日本の朝には15mでは北米全域が景気良く聞こえてくる。

WAS Digital 15m FT8 confirmed

前回20230816に書いたWASアワード、20230913にKansas (KS)、そして昨日20230918に最後まで残っていたVermont (VT)州の両方と15m/21MHz FT8で交信してconfirmationを得ることができ、15m Digital FT8でのWASが完成した。これでMixed, Digital, 15m (Mixedの特記), FT8 (Digitalの特記), Digital 15m (Digitalの特記)の5つの項目で50州の交信を達成できたことになる。100Wと短縮ホイップでの成果としては十分満足すべきものだろう。交信記録を見ると今の場所での15mでの北米との交信は2022年4月から始まっているので、1年半かかったことになる。長かった。

連休初日の20230916からVTに絞って送信地点のGrid Locator (FN32/FN33/FN34/FN44)から場所を推定し、QRZ.comのデータベースで入感した相手の場所を確認するという作業を3日間地道にやっていた。朝早めなので体力的には厳しかった。なにせ日本の富豪局と米国やカナダからもたくさんの局が出ているので、弱肉強食のFT8の性質もあって、1日1局ぐらいしかVTからの送信は入感しない。こちらも短縮アンテナしか使えないため、交信の機会を得るのは難渋を極めた。それでも拾ってくれた相手がいたのでなんとか達成できた。近傍のME, RI, MA, CT, NY, NJといった各州とは交信できているので可能性があるとは踏んでいたが。ごく普通のフルサイズの1/2波長ダイポールアンテナを張ることができたなら、こんなに苦労しなくても良かったかもしれない。100Wは必要なくて、おそらく10Wか50Wで十分交信できたのではないだろうかと思う。アンテナに恵まれていない状況にはいろいろ無理があるというのが率直な実感である。

WASにもTriple Play(Phone/CW/Digitalでの達成)や5-band WASなどいろいろな特記があるが、運用地は2点間の距離が最大でも50マイル(80km)以内しか変えられないというルールがあるため、今の状況でのWASはここまでになりそうだ。あと可能性があるのは20m/14MHzだが、無理して狙う気にはなれない。

手仕舞い

Digital DXCC 200エンティティとWAS Digital 15m FT8の両方が(ある程度事前に準備はしていたが)予想通り達成できたことを考えると、無線活動に一区切りつけるのにいいタイミングかもしれない。来月半ばの20231014にはHamSCIの米国内の皆既日食イベントがあるが、WSPRの運用のみで十分参加できる話である。年内に意思決定をしないといけないだろう。

YouLoop

YouLoopという受信用ループアンテナがある。数年前に結構流行り、それなりに中波の受信には使える機材である。ここ1年ぐらい中波の受信アンテナがなかったのだが、久々にバルコニーに設置してAirspy HF+ Dual Portと組み合わせて使っている。近隣の中波局を高音質で安定して受信するには十分な性能である。それでも近くのエアコンのノイズは避けられないのが若干不満な点ではあるが。普通の中波局を普通に受信するのが非常に難しくなっていることを実感する。もはやビジネスとして中波放送は成立していないという話が出てくる所以の一つでもあろう。

20230816

夏が過ぎた

九州と関西と、西日本に2発も大きな台風が来た。さすがにあの大きさの台風だとこちら東京都世田谷区にも影響が出る。昨晩の突然の豪雨には驚いた。

前回の追記からもう2ヶ月が経過した。暑い気候はまだまだ続くだろうが、電離層は正直なもので、もう秋の状況になりつつある。日本の暦でいう立秋ごろから、秋が始まる。今年の秋は残している15m FT8 WASのうち、KSとVT両州ができれば嬉しいと思っている。来年の5月上旬(立夏)までは時間はありそうだが。

Digital DXCC 200cfm

昨日20230815にDXCCのDigital(旧RTTY)特記で200エンティティのconfirmationを達成した。2015年2月の時点では134しかなかったので、この3年間で随分増やしたものだと思う。すべてローディングホイップアンテナとカウンターポイズに100Wという真に貧弱な設備でよく66エンティティも増えたものだ。FT8/FT4さまさまである。

正直、もうここまで行けばDXCCを無理に追うこともないだろうと思う。諸事情で無線局の出力をさらに減力する可能性も高いので、多くは期待できないだろうし。せめて半波長のダイポールアンテナをまともに張れれば状況は変わると思っているが、それも今の設備ではかなわぬ夢である。

どんなに頑張っても上にはいけないDXCCレースの現実

DXSCAPEでは随時DXCCのランキングを更新している。これを見ると、自分の客観的な実力がわかる。それはまあ悲惨なものである。日本のDXCC Challengeでは下から数えた方が早い位置にいるし、Honor Rollにはなれる可能性はゼロだし、Digital特記ではかろうじて真ん中より上だが上4分の1には入れそうにない。20mは221エンティティconfirmedをもってしても半分よりちょっと上ぐらいにしかならない。シンプルアンテナとリニア、タワー、戸建て、ビームなしでやってきたのだから客観的に見れば当然といえば当然なのだが。

自分が2002年6月から21年(途中5年ちょっとの間が空いているので実質16年ぐらい)かけて、どうにか今の状況まで来れたこと自体には全く悔いはないし、積年の恨みを晴らすこともできたわけで十分満足なのだが、勝つことはないであろうこのレースにはそろそろサヨナラしないといけないだろうと思っている。その昔「バカ、ダメ、バッテン」とコールサインを揶揄された時のことは永遠に忘れないだろうけど。もっとも1970年代後半に私をからかっていた人達の中で今のDXCC Rankingに残っている人は一人もいないから、そういう意味では勝ったと言い切ってもいいのだろう。

別にDXCCもDXingも止めるつもりはサラサラないのだが、世の中には潮時というのがある。ちょうどいい区切りの時期かもしれない。

20230605

背景音響としてのラジオNIKKEI

1983年の昼間、大学受験のときに背後でかけていたラジオ番組は、ラジオたんぱの株式市況だった。八重洲のFRG-7700とソニーのAN-1で聞いていた。

そして2023年の今は、ICOMのIC-705と、ダイヤモンドアンテナのAZ510FMHに5m×5のラジアルをつけたもの(アンテナを変えれば送信可能になる)で、ラジオNIKKEI第1放送を聞いている。昔に比べて機材も小型になり進歩したのだけど、やっていることは40年間同じであり、全然進歩がない(笑)。

たまにラジオNIKKEI第2放送のRaNi Music♪を聞くこともあるが、短波放送だと、音圧が軽めである。AFN東京のような派手さはない。もうちょっとコンプレッションを効かせてもいいと思うのだが、そこまでできないのだろうか。

FT8/FT4とChatGPT

FTx is to Ham Radio as ChatGPT is to English literature.

のたもうておられる人がいる。この人はコンテスターで、SDというCWコンテストメインのロギングソフトを作っているベテランだが、よほどFT8/FT4が嫌いで、リモート運用も許せないらしい。「ハムラジオに対するFTxは英語文学に対するChatGPTと同じようなものだ」というのはいかにも彼らしい主張である。

でもFT8/FT4を含むWSJT-X SuiteはLDPCを使っており、誤り訂正の際に意味のない推定はしないと思う。誤り訂正符号はChatGPTが使っている大規模言語モデル(LLM)とは違うので。

私はCWコンテストもやったし、FT8/FT4は日常的に運用しているが、このへんの例え話のどこが合っていてどこが間違っているかというのは、教養を問う良い練習問題になると思う。

wsjtx_improved .vs. jtdx_improved、そしてARRL International Digital Contest

ARRL International Digital Contestに今年も参加したが、残念ながらあまり局数はこなせなかった。疲れていたせいもあるが、それ以上に、昨年同様ソフトウェアのGUIの問題で操作になじめなかったというのが卒直なところである。

wsjt-x_improvedjtdx_improvedという、WSJT-XとJTDXそれぞれをカスタマイズしたソフトウェアをWSJT-X Suiteでは使っている。これらをリリースしたUwe, DG2YCBの変更はなかなかGUIの趣味も良くて気に入っている。ただ、彼は各ソフトウェアのコア部分には手を加えていないと述べており、特にjtdx_improvedではGUI以外に大きな変化はないように見える。

普段は私はほとんどjtdx_improvedしか使っていない。コンテスト参加のときは対応していないので、wsjt-x_improvedを使うことになる。昨年も書いたのだが、WSJT-XのUIはコンテストには向いていない。JTDXは受信時に一度画面クリアしてくれるのだが、WSJT-Xではそれができない。それだけのことで随分使い易さが変わってしまう。そして、FT8/FT4では普段の点稼ぎでない運用でですらタイミングの制限でコンテストモードに近い精神的負荷を強いられることもあるし、ましてやCWのコンテストソフトウェアのような気の効いたmultiplier表示を積極的にしてくれるわけではない。その意味ではFT8/FT4のコンテストはCWのコンテストのような面白さはないように見える。特に、FT8の1交信に最低でも1分かかる仕様は、コンテストにはいささか遅いんじゃないかと思う。FT4のみに制限したコンテストがあればもっと面白いのではないだろうか。

20230408

IC-705を使ってみている

先日ICOMのIC-705を発表後3年にして入手することができた。早速使っている。

基本性能は10Wの固定機同様

構造上の10W出力制限を除けば、昔のIC-7000に劣らない性能であり、USB制御もflrigやJTDXで問題なくできる。よくできた機械。これにリニアアンプつけて云々というのはあまりやる気にならない。やっている人はいるし、スプリアス特性を見るに-70dBcはクリアしているので問題はなさそうだけど。内蔵電池だと5Wまでというのは納得できる。10W連続運用だとファンを付けてやる必要がある。バッテリーケースを改造してファンを内蔵している物が売っていたので長時間運用には便利に使っている。

付属のスピーカーマイクは要らない感じ。ハンドマイクにしてほしかった気がする。サードパーティーでまともなハンドマイクを出したら売れそう。本体内蔵のスピーカーは非力なので、外部にスピーカー付けたほうがいい。モービル機のスピーカーで十分だと思う。CQオームのOHM-980SPXを使うといい感じの音になる。そしてヘッドホンの設定をしてやるとヒスノイズが出てこないのがよい。

送受信の基本性能は申し分ない。2m SSB、70cm FM共、世田谷区から普通に神奈川県各地と交信できた。30mのCW、FT8も大丈夫。10m FT8ではブラジルと米国と交信できたので、これ以上は望めないだろう。flrigはリグの種類ごとに過去の値を記憶しているので、IC-705とFT-710と付け替えるのは楽にできる。Ubuntu相手だとオーディオデバイスもUSBシリアルデバイスも一発で認識した。

FM放送受信機能がついているのはとてもありがたい。ステレオ受信できればなお良かったのだけど。

この機能のものがこの大きさでこの値段というのはお買い得だと思う。

よくわからない俗説

IC-705については、ユーザーが多いせいか、いろいろなことを言っている人達がいる。その中にはよくわからない言説もある。

SSBの変調がダメだという話がある。確かに付属のスピーカーマイクそのままで既定値で使うと、モゴモゴするかもしれない。とはいえ、モニターしないで音作りもしなければ、モゴモゴするのはIC-705に限った話ではない。世の中のマイクロホンには近接効果というものがあって、それでなくてもSSBは低い音声周波数をカットしてカリカリにしてコンプレッサーをかけないとまともな音にはならない。音質調整で低音をカットしてそれなりにコンプレッサーをかければ普通の音にはなると思う。別の受信機でモニターしたらわかるのではないか。送信時の音質調整はモード別にできるのだから、低音のカットぐらいして欲しい。もしかしてそういう知識がないのかもしれないが。

アパマンだと出力が足りないという話も見る。出力が欲しいなら、IC-705じゃなくて、IC-7300(M)かIC-9700を調達したらどうだろう。別に八重洲無線のFT-891でもFT-710、あるいはFT-991Aでもいいのだが。外部増幅器を付けるという方法もある。リニアアンプを付けて1Wから500Wまで増力して使っているという米国の例もあるくらいだから、技術的にできないわけではない。

IC-705ではDXができないという言説もあるが、事実に反していると思う。何がDXかというのは考え方次第であるとはいえ。物理法則が変わるわけではないから当然10Wの限界はあるが、すでに10m FT4にて地上高8mの2.2m長ホイップと組み合わせて、ブラジルで東京からの電波はコピーされて交信は成立している。6m FT8でも2.2m長ホイップでオーストラリアと交信できている。これらがDXじゃなかったら何がDXなのかという気がする。「アパマンには無用の長物」とかいう人もいるが、適材適所ということを考えたことがあるのだろうか。そもそもWSPRでは5Wあれば海外まで平気で飛んでいくのだし、出力だけでDX云々を論じるのには無理があるだろう。

「送信できるBCLラジオ」という言い方もあるようだが、それをいえば、中波帯や短波帯を受信できる今の無線機のほぼ全部がそうなってしまうだろう(笑)。私もFT-710は、いにしえの通信型受信機へのオマージュを込めて買ったようなものだ。IC-705はもっと小型で扱いやすいし、FM放送も聞けるから、まさにBCLラジオそのものという言い方はできなくはないが。卑下する必要はないだろうと思う。

そんなわけで、つくづく世の中の人達の視点の狭さには呆れるばかりである。正当な根拠のない意味不明の主張に時間を割いている暇は私にはないのだけど、Twitterを見るとときどき上に述べたような言説が出てくるので、書いておいた。

日本/欧州/米国モデルの違い

日本は特に144/430MHz帯でのオフバンド規制がうるさい。そのためIC-705でも日本モデルだと144MHzから146MHzしか扱えない。米国で使うなら米国モデルでないとリピーターで使われている146MHzから148MHzへのアクセスはできない。もっとも、日本モデルを欧州に持っていっても、国や地域によって許可される周波数が違うことには注意しなければならない。各国で許可されている周波数は違う。

20230312

しがらみのない12m/10mバンド

日本のアマチュア無線ではナナメガ(40m)とか6mとか2mとか70cmとか必ず自称警察がいて 中にはメールで要らぬ注意をしてくるのまでいて(私も2020年以降一度やられたことがある)、 実に面倒なのであまりそういうところでは電波を出さないようにしている。 言い換えれば、そういう文句を言う人がいないバンドだと運用しやすい、ということはあると思う。

先月2023年2月からの1ヶ月間は太陽黒点数が多かったこともあって、 あまり出ていなかった12m/24.9MHzと10m/28MHzで積極的に運用するようにした。 ビームアンテナを振り回している富豪の皆さんにはかなわないが、 それなりに成果は出たことは素直に喜びたいと思う。 ヘンな自称警察のいないバンドは気分が楽である。 一度だけLIDQSYとか絡んできたのがいたが、こちらに落ち度はないので華麗にスルーした(笑)。

おかげで10mのDXCCはconfirmed entitiesを10個増やすことができた。ありがたい。 過去の無線活動でろくに太陽黒点の最盛期の恩恵に与れた実感がなかったのだが、 昨年2022年からのオープニングはようやくその実感を伴ったものになりそうである。

ラジオの音

ソフトウェア受信機(SDR)のラジオの音、特に短波のそれはイヤだという人達が多いけど、 そういう人達は受信音声にIIRのLPFを入れるなり、 パッシブなLC/RCフィルタを作って入れて高域を下げたらいいと思う。 位相が揃っていて音圧のある音をなまらせるのは誰にでもできるけど、逆はまず無理なので。 FM受信機の高域はディエンファシスが必要なのは電話級じゃなかった4アマの教科書にも出てるし、 自分でやったらいいのにと思う。

そもそもSDRのベースにあるFIRフィルタの良さは帯域内の直線位相の保証にあるわけで、 その音を受け入れられないんだったら何か対策を自分で考えるべきだと思う。 アマチュア無線とかラジオが好きなんだったら多少は技術の心得もあるんだろうと思うし。 文句を言う前に自分で実験してみればいいのにという所感を禁じ得ない。

20230311

ソーシャルネットワークのblockとmute

ソーシャルネットワークにてblock/muteするのは、 基本的に気に入らない相手からの雑音が入ってくるのを減らしたいからで、 自分の書いていることについて遮断できるからだとは思わないほうがいい。 自分の書いていることに自信がないからblock/muteしているわけではない。 変なことをいう自称警察みたいなのがいっぱいいるからblock/muteするというのが実情だろう。

現にTwitterではblockされていてもpublic Tweetであれば ログインしないで読めば読み放題であるという状況だし、 Facebookも同様である。 この程度のこともわかっていない人達が日本のアマチュア無線家にはどうも多そうである。

D67AA

いつもお世話になっている方がD67AAとしてコモロ諸島から単身電波を出している。 一人でたくさんの荷物を持って動くというのは私にはできないのでただただ尊敬するしかない。 2週間弱の運用期間らしい。

幸い私の弱い電波も15m FT8 Fox/Houndにて拾っていただけた。ありがたい。 まずは無事の運用、そして無事の帰還を祈るのみである。

20230310

JJ1BDX 開局47周年

1976年3月10日にJJ1BDXの移動局の免許を受けてからもう47年になる (実際の運用は無線局免許状の到着が遅れたのでその3週間ぐらい後から始めたと思う)。 最初に6m/50MHzから始めたのは間違いだったと今なら自信を持って言えるのだけど (最初から40m/7MHzの欧文電信でもやっておけばよかったと思う)、 当時はソーシャルネットワークとしてのアマチュア無線の側面も大きかったから 6mバンドで出たのは仕方がなかったかもしれない。 その年の後には2mバンドでも遊んでもらったけど、 結局11月ごろに中学受験のため全部一度止めてしまった。

短波運用をまともにできるようになったのが2002年からで、 しかも東京に戻ってきてからの短波運用は2020年からであることを考えると 実質開局21年ぐらいの気分である。 限られた設備でやってきたこともあって、正直運用結果に大したものはない。 とはいえ、2023年2月からの1ヶ月ぐらいは、ハイバンドのオープニングもあって やっと最低限の人並みの無線局として運用できたというところだろうか。 これもFT8/FT4あってのことなので、技術の進歩には素直に感謝すべきだろうと思っている。

20230221

Bouvetøya

もう終わった3Y0JのDXpeditionだけど、FT8だとホイップで信号はこちらでも見えたので、 なんとか交信できた人達は多いだろうと思う。でもあの大規模なパイルアップを捌くのはFT8には向いていない。 1局の交信に最低60秒かかる時点でダメだろうと思う。CWの大パイルになったのは正解だったのではないか。 現地の時計が狂ってたりいろいろ問題はあったとは思うけど、まずは無事に帰還できることを祈りたいと思う。 この記事を書いている段階ではまだ島から大陸には戻れていないようだから。

SHF帯

ICOM IC-905の発売に際して「俺のSHF帯に土足で上がり込むな」とのたまった爺がいたという話を聞いた。 そういう爺からは免許を取り上げていいんじゃないかと思う。 そもそも電波は公共財であり、ましてやアマチュア無線では私人の所有権や管理権が設定されているものではない。 なにしろ誰も使っていない周波数領域がSHF帯にあろうものなら今やIMS(ケータイ)の人達が放っておいても獲りに来る。 ICOMには会社なりの思惑はあると思うが、衰退しているアマチュア無線の世界で新しい機材を出そうという企画に、 冷や水をかけるようなことは言うものじゃないだろうと思う。 といっても、私はSHF帯の技術には興味はあっても、アマチュアとして使うことにはあまり興味はない。 むしろIoTなりより一層発展させるべきインターネットの社会基盤としてSHF帯は今後も使っていくべきだろうと思うからだ。

設備共用ならぬ設備強要

富豪設備のアマチュア無線局の免許人に、俺にも使わせろと設備共用を強要してくる変なのがいるらしい。 こういう輩は言語道断であり、遠ざけるに限る。強要は刑法223条の罪である。 そもそも設備共用は無線局の開設同意と同様に信頼関係の上に成り立つものであり、 誰かに強制されるものではないと思う。 私もかつて設備共用をお願いしていたことはあったが、運用の機会がなくなったことを理由に、設備共用を終了した。

CQハムラジオ誌の読者の平均年齢は60歳代

最近CQハムラジオ誌を立ち読みする機会があったのだが、読者投稿の平均年齢は60歳代のようだ。 要するに過去40年間ぐらい平均年齢が毎年1年ずつ上がっているということだろうか。 もうCQハムラジオ誌にも別冊CQ Ham Radio QEX Japanにも自分は寄稿することはないと思うが、 この高齢化の事実を突き付けられるたびに自分の身の振り方を考えてしまう。そういう自分も58歳に近い。

20230203

バルコニーのアンテナの限界

過去47年近く無線をやっていて最大の制約になっているのはアンテナである。 なにしろ短波は日本の住宅の寸法に比べて波長が長すぎるので、1/4波長の長さの輻射器すらろくに確保できないのが現状だ。 これをどうするかといっても妙案はない。物理は裏切らないが絶対に人間の都合には忖度しないからである。

今の2.2m長モービルホイップをバルコニーから水平ちょっと斜め上に出している運用形態は、正直なところ、 1980年代前半に似たような場所でやっていた、竹竿にワイヤーを這わせていた運用と同程度の運用でしかない。 違いがあるとすれば比較的正しく整合が取れていることだろうか。そうでなければ送信出力は満足に輻射されないので。

とはいえ、構造物を外に出す際は、落下等起こさないように固定できていないといけない。 そのことを考えると、アンテナをあまり大きなものにすることもできないのが、現在の悩みだ。

Twitterの日本語のアマチュア無線の世界と「バカ息子」達

もうtweetはしなくなってしまったが、日本語のTwitterでのアマチュア無線に関する話は、いくつか定点観測している。 懲りない「バカ爺達」(私より年代が上の人達)と懲りない「バカ息子達」(私と似たような年代の人達)の活動は、 いつ見ても面白いと同時に、この人達は無線しかやることがないんじゃないかという哀愁を誘うのである。 もちろん私もかつては似たようなバカ野郎として定点観測されていたのだろうという認識は持っているが(笑)、 幸い無線しかやることがないという状況に陥ったことはない。

基本日本の人達は井の中の蛙というか、「他人にメーワクをかけない」という小中高教育での洗脳のおかげで、 自分がより大きな世界の中でどの位置にあるのかということを意識する能力が低くなっているように思う。 そしてその上に人口の2%しか満足に英語ができず、海外渡航の経験のある人達も少ないので、 日本語の世界だけにいるとどんどん認識が歪んできて世界が狭くなるという例をイヤというほど見てきた。

昨年2022年9月に「夢の図書館」にて、ラジオの製作やHam Journalといった雑誌のうち 古いものを閲覧する機会に恵まれたのだが、上に書いた「バカ爺」や「バカ息子」達は1980年代、そして1990年代前半から 今とあまり変わらないような活動をしていたことを確認できた。 このことを「進歩がない」と言い切る気はないが、 それだけ日本のアマチュア無線の世界は変化していなくて停滞しているというのは事実だろう。 基本多くの人達が国内運用だけにしか興味を持っていないし、 海外交信はできてもその先の海外のコミュニティとのつながりを作るところまで行かないのが現実じゃないかと思う。 紙のカードに固執して最新のconfirmationのやり方に対応しないJARLはその極致だし、 各種ソフトウェアのユーザーにはなれてもそれらの修正もできないおよそ技術者を名乗る資格のないただの消費者が全体の99%であろう (もっともこれは日本に限った話ではないかもしれないが)。

せめて自分は「バカ息子」(笑)にならないように、最新の技術に対して自分の知力で貢献していく、ということだけは忘れないようにしようと思う。

20230124

バリコンあるいは可変コンデンサ

高周波用の可変コンデンサ(最大容量で数十から数百pF程度)は機構部品になってしまうため入手も取り付けも容易ではなくなっている。 中波やFMラジオ用の可変コンデンサの代表だったポリバリコンも世の中からなくなりつつある感じを受ける。 伝統的なアンテナカップラーあるいはアンテナチューナーそのものがもはや希少品種になりつつあるようだ。

そんな中で村田製作所の「バリアブルキャパシタ」という 面白そうな部品を見つけた。詳細データは開示されていないが、13.56MHz用と書いてあり、 22pF - 45pF、あるいは45pF - 90pF程度の容量を確保できるらしい。 容量調整用端子には交流は印加するな、とあるので、いわゆるバリキャップダイオードとは違うのだろうと想像する。 流通してくれば短波の実験には使えるかもしれない。

ただ卒直な話今後同調回路を集中定数で作ることはなかなか大変になりそう。

20230123

あらためて追悼: 高橋幸宏

細野晴臣御大のInterFMのDaisy Holiday!という番組で高橋幸宏御大逝去に伴う追悼番組をやっていた。 高橋幸宏御大は私にとって音楽的に最も影響を受けた人の一人。合掌。

FM放送への高調波障害

日本の場合(76MHzから95MHz)のFM放送への高調波障害を考えると、 実は28MHz帯(28MHzから29.7MHzまで)がかなりヤバいのではないかと思っている。 なにせ3倍高調波が84MHzから89.1MHzに出てしまうので。 もちろん21MHz帯の4倍高調波とか、18MHz帯の5倍高調波も考えることはできるし、他の周波数でもあり得るが、 3倍高調波はフィルタなしに抑えるのがとても難しい。 50MHz帯のことを考えなければ、35MHzから70MHzまでで減衰するLPFを送信出力につければいいので、なんとかなりそうだが。 とはいえ100W通過できるローパスフィルタ作るのは大変なのでできれば避けたい。 (後述する同軸トラップが案外使えるかもしれない。)

仮に基本波が100W送信だと、不要輻射が-60dBの法定範囲内でも0.1mWの出力になってしまうため、 送信点から半径10mぐらいだと受信障害が発生してもおかしくない。 幸い今使っている周波数だと既存の大きな放送局(近距離のコミュニティFMを含む)からは外れている。 FT4の28.180MHzでも上の3倍高調波は28.184MHz × 3 = 84.552MHz なので、 世田谷区でも受信できるFMヨコハマの84.7MHzに対してギリギリで障害にならなさそうな感じ。 一方FM西東京の84.2MHzだとモロにFT8の周波数28.074MHz × 3 = 84.222MHz でヒットしてしまうので、ちょっと大変かも。

放送への受信障害は絶対に起こしてはいけないことであり、運用の際は注意が必要かもしれない。

同軸トラップ

伝送線路の途中にオープンあるいはショートのスタブを並列に入れて、 希望しない帯域を減衰させたり、インピーダンスマッチングを行うという定番の技術がある。 日本語では同軸トラップと呼ばれるらしい。 前述のFM放送への28MHz帯送信機の3倍高調波による障害は、同軸トラップを使うことで実用的に解消できる気がする。 Coaxial Stub Notch Filter Designerとか 同軸トラップフィルタの解説記事が参考になる。 28MHzのFT8対応だと、阻止帯域(84.2MHzあたり)のショートスタブを作って、通したい周波数(28.07MHzあたり)に対してリアクタンス補正をしてやればよさそう。

20230122

10mバンドオープン

予想通り朝から10m/28MHzバンドが開けていたので集中。 昨日同様そこそこ交信できている。 昨年末に購入したダイヤモンドアンテナの2.2mホイップHF10CLを出してきた。 これはなぜか10mだけでなく12m/24.9MHzバンドにもマッチングが取れる。 なのでときどき12mにも出ている。

とはいえFT8以外HFでは誰もアマチュア無線をやっていないような気がする。 10mのSSBとFMでCQを出したけど空振り。

12mバンドも局は少ないがそこそこ開けていた。 12mのSSBでCQ出したらAsiatic Russia (UA9/UA0) から呼んで来たけど残念ながらお断り。 昨年2022年2月24日以来、ロシアとベラルーシの局とは交信しないことにしている。ささやかな抗議。

ウクライナの局と10mで交信して10mでのOne Day WAC完成。 AF: EA8, AS: BY, EU: UR, NA: W, OC: VK, SA: LU というラインアップになった。 最初のEA8は02Zぐらいに東京だと見えてくる。面白い。 こちらの電波も到達していることは確認できていたので、交信の可能性はあると踏んでいた。予想通りになった。

HF運用を今の無線機Yaesu FT-710にしてから、終段が頑丈になった印象を受ける。 前の無線機FT-891に比べ、筐体が大きいせいか、FT8ぐらいの連続送信ではへこたれない感じになっている。 20世紀までの無線機よりは少しは強めに作ってあるのだろうか。よくわからない。 八重洲無線の無線機は必ずしも評判はよろしくないようだから。 昔FT1XDという無線機をスウェーデンに持っていって(米国免許に基づく運用許可を受けて)使っていたら、 いきなり送信が止まらなくなってバッテリーを外さない限り操作不能というインシデントが発生してしまったことがあった。 あれはやめて欲しい。手放してしまったけど。

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